タイだなあ

「あ、タイだな」 と思った。 「かかとの下の空」という小説の 冒頭の数行を読んで、そう感じた。 読み進めたら、やっぱりそうだった。 角田光代の「みどりの月」という短編集を 会社に行く電車で読んでたんだけど、
その2つめのお話。 アジアを旅する夫婦の話。 日本での虚無感を払拭するために アパートのものを全部捨てて二人でバンコクに。 最初こそ、バンコクでバッパーを満喫するが タイのあちこちを転々とするうちに しだいにやっぱり虚無感に苛まれる。 タイやアジアのパワーには圧倒されるものがあるが 同時に、何とも言えない停滞感を感じるときがある。 その原因が、だらけた雰囲気にあるのか、道徳観のなさなのか、楽観的すぎることなのかわからないけど。 電車が大森に着いたので、ふと電車を見渡すと、 ピカピカの車内に、みなりのいい人々、 でも、なんとなくうつろな目とか、険しい感じとか、 いらいらした感じとか、くだらない週刊誌のコピーとか。 結局、どこでも虚無感はあるのだなあなどと思い、 結局、自分の振る舞いや、ものの考え方を、前向きにしないと 解決しないんだなあ なんて思った。 日本での生活に閉塞感を感じると、旅行いきたくなるが、 旅行が日常になると、それはそれで閉塞感感じるのよ。