2004年

2004年がおわる。世界一周から帰って来てだいぶたっちゃった。あの感覚を忘れている。デパートの化粧品売り場で香水のにおいがするとき、ふいに空港の免税店の風景を思い出す。年間に30フライトover。月に2回くらい飛行機にのっていた。日本で暮らしたこの2年は、はやかった。あっという間に体重は元に戻った。週末に酒を飲み、ウインドウショッピング電器屋巡りと、たまに行く鎌倉。バンドもラグビーも飲み会も友達と遊ぶことも、旅行行く前のように。何も変わっていない。会社の仕事も、個人の仕事もどちらも充実していて面白い。ものを作ることと、段取りをすることが好きだ。不思議と旅行に行きたいとは思わないのはなぜだろう。2泊やそこらで旅行をするなら、家で昼まで寝て、鎌倉に行って、うまいものを食って過ごす時間の方が好きだ。家の掃除や模様替えや、料理をして宴会をするほうが楽しいと思ってしまう。新しい家に引っ越したい。広い日当たりのいい眺めのいい家に引っ越したい。家を改造したい。またペンキをぬったり、家具を作ったりしたい。考える時間が減った。世界旅行は、毎日移動する。身の危険を回避し、信用する人を見定め、決定することの連続。その日暮らし。いっぱいある時間=飛行機や電車ゆあ船の移動。たくさんの待つ時間がある生活、昼寝できる生活。読むものが少なく、自分で考えて、自分で書く生活。文化的な刺激が減っている。美術館に毎週行くような生活は日本では出来ない。たまに行く美術館、作品とミュージアムショップの本を眺めるたびに、考えることが薄弱になってることに気づく。今僕が作っているものは、予定調和と、普通なイメージ。ひねりを考える知的余裕も時間的余裕も無い。もっと考えて作らないと、美しいものも、自身が感動するものも作れないなと思う。日本ではものがありすぎて、刺激を感じようと努力しないと、よくも悪くもないテキトーなもので満足してしまう危険性がある。本物を、ブームがすぐに大衆一般化してしまう。音楽が楽しい。聞き、演奏し、組み立てる。考える。このプロセスが好きだ。アルバムに込められた思いを読み解こうとするのも好きだ。人の演奏を見る。ライブの強烈なパフォーマンスに驚く。観客の反応を場に結びつける即興性。ダイナミズム。アドリブと勢い。来年は何をしようかなと思う。