「モネ 連作の情景」展
久しぶりにモネの作品をまとめて観た。この前モネをまとめて観たのは2019年にパリに行った時。膨大な量のモネの作品をオルセーやオランジュリーで見た。
自分が絵を描くようになってからこんなにまとめてモネを観たのは初めてだ。とても感慨深く、見る視点が変わったと思う。
ぼくは、モネこそが印象派であり、近代絵画の父だと思っている。
ルノワールやゴッホも印象派と呼ばれるし、マネやセザンヌ、マチスなども近代絵画の元祖だと言われているが、ぼくはモネの絵と、その人生のエピソードも含めて、後世の画家に与えた影響は計り知れないと思う。今のモダンアートのおおもとはモネだと思う。
ロンドンのテートモダンでマークロスコとモネの絵が隣り合わせに展示されていた時に、あ、モネの絵は抽象画の元祖なんだなと思った。
実は手数がすごい。乾燥しないうちにどんどん塗り重ねているのか、いやしかし、むしろ混ざらないようにしているのか?
物の形をつかまないような描き方をする。空気、印象、音、雰囲気、見えないものを描いている感じ。
ストロークは速く、でも、ものすごくぴったりしている。画面に空間というか空気を描く感じ。
驚くほど色相をたくさん使っている。
単純に画面がとても美しい。何かをそっくりに描いているわけでは無いのだけれども、画面を埋める面や色の合わせや色の並び、構成がとても素晴らしくて、画面自体に見入ってしまう。
半具象や半抽象という言い方が日本画壇にはがあるが(それはとってもダサイ言い方だと思うが)モネの絵画を研究して、そのような描き方をしたのかもしれないなと思う。
さて
今回のモネ展は、作品はとても良かったが、それ以外は全部クソだった。
上野の森美術館は、僕は日本で1番ダメな美術館だと思う。ここでのどの展示も、作品以外の全てにいつもがっかりする。
まず、建物自体がなんとも安普請な感じで軽薄だ。さらにレイアウトの壁面パネルも何とも言えないハリボテ感。そこにかけられる絵画と額縁の重厚さとの落差で、ほんとうに軽薄に見える。同じ絵をパリやロンドンの美術館で観た時の荘厳さとは似ても似つかぬものだ。国内の美術館にも素晴らしい佇まいの建築がたくさんあるので、そこで架けられていたモネと比較しても、もう、大変に残念な空間である。
また、チケット売り場やバックヤード、エントランスの手前の屋外スペースにあるコインロッカーの並んでいる様子も、とても無様だ。歴史に残るモネの作品を見る場所として、威厳もなにも全くない。すごい仮設感。海の家レベルである。
係員の案内や掛け声も、もう少し美意識がほしい。デパートの混雑したセール会場の注意喚起のようだ。
入場料の2800円は、もう今の時代しょうがないと言う気もするが、やはり、それに見合った施設なのかと言うととても疑問がある。
展示後のグッズのコーナーも、直接つながっていないので、いちど屋外に出てショップに入るのための行列ができていた。冬の寒空で待たなくちゃいけないので入るのをやめた。図録を買おうと思ったが残念だ。
やはり上野の森美術館の展示は最低だ。過去のフェルメール展もがっかりしたが、今回もやっぱりがっかりだ。
この美術館じゃないところで行われるモネ展を見ればよかったと思った。大阪の展示に行こうかなー。
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