ソール・ライター展

最近たてつづけに写真展ばかり行っている。今回行ったのはBunkamuraで開催のソール・ライター展。 

流れる景色を見ているようだった。

撮影された年次はまちまちだが、展示の並び自体に景色を感じてしまう。画面には正確に写っているものはとても少なく、ボケていたりガラス越しだったり隠れていたりするのに、印象深い像が頭に流れ込んでくる。

この写真は60年代ごろに撮影されたカラー写真で、リバーサルフイルムで撮影されている。スライド映写機で見るポジ写真である。当時、経済的な理由から、印画されることのなかった写真たちが、2000年代になって写真集になり、話題になった。 

今回の展示、印画された写真を、部屋の空間の中で流れるように見る というのは、写真集のページを繰るのとは全く別のUXだ。なんだかものすごく不思議な感覚になった。 

年代が違ってもソール・ライターのまなざしは一貫している。だからか、数珠繋がりな景色に感じてしまう。中には2000年代にデジカメで撮影された写真も混じっているのにわからないのだ。 

人がある哲学を持って長い期間にわたって作った作品群、それを見るというのは、なんとも心にずーんと響くものがある。アーティストたる所以だと思った。絵筆で描くのと同じように、カメラで描かれたアートである。 

考えてみれば、本人もこのプリントが一堂に並ぶ様子を見ることはなかったんだなあ。 

展示図録をぱらぱらとめくって、買うのをやめた。展示から受ける印象と違ったからだ。

展示方法と相まって感動する展覧会をひさしぶりに見た。行ってよかった。 

↑コロナで中止になってしまった展示のポスター


このソール・ライター展は、コロナで中止になった写真展で、行けなくて残念に思ってたら、なんと!アンコール開催で、少し展示内容が変更になったものの、再度開催された。 

しかもチケットは渋谷から離れた銀座の大黒屋(金券ショップ)でなんと500円だった。半額以下である!